先の北海道における地震災害、関西地方ならびに中国四国地方における大雨災害で亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。
現代、日本海側は『裏日本』とか『鄙(ひな)の国』などと言われていますが、遠い昔、弥生時代(紀元前4~500年から 紀元後300年くらい)は日本海側が『表日本』であり、日本海を通じて様々な交流が行われていました。
出雲大社「神楽殿」
唱 歌 「一月一日」
(一)
年の始めの 例(ためし)とて 終りなき世の めでたさを
松竹立てて 門ごとに 祝う今日こそ 楽しけれ
(二)
初日の光 さし出でて 四方(よも)に輝く 今朝の空
君がみかげに 比(たぐ)えつつ 仰ぎ見るこそ 尊とけれ
「年の始めの例(ためし)とて」の歌い出しで人々に広く歌い継がれ、現在でもお正月のテレビ番組などでよく聞かれる唱歌「一月一日」は明治28年、明治政府によって元旦拝賀式(はいがしき)の奉唱歌として定められました。元旦拝賀式とは元旦に全国の小中学校の生徒たちが登校して行なわれた新年の祝賀式典です。
そして、この唱歌「一月一日」の作詞者が第80代出雲國造(こくそう)・出雲大社宮司の千家尊福(せんげたかとみ)氏です。作曲者は宮内省の雅楽長であった上真行(うえさねみち)氏でした。尊福宮司は出雲大社の布教機関である出雲大社教の初代管長をつとめた他、貴族院議員や静岡・埼玉・東京の各知事をはじめ、司法大臣などを歴任した政治家でもありました。
この唱歌の第二節は当初、「初日のひかり 明(あきら)けく 治まる御代の 今朝の空」でした。「明けく治まる」と「明治」を読み込んだ時代が終わり、大正となった同2年、現在の歌詞に改められました。
兎にも角にも、今なお多くの人々に歌い継がれるこの唱歌は、年の始めにあたり御皇室の弥栄と国家国民の永遠の繁栄を祈り祝して歌われ続ける日本人の“こころの歌”なのです。
なお、1月5日に行なわれる「説教始式」では神楽殿の大広間に集った参列者、出雲大社職員一同全員が、この唱歌を歌って年の始めをお祝いします。また、神楽殿の脇にはこの歌碑が建立されており、初詣の参拝者で賑わうお正月、境内ではこの歌が終日流れており、メロディーに誘われるように口ずさむ参拝者の歌声が、どこからともなく聞こえてきます。
出雲大社「御本殿 観察楼」
出雲大社「大鳥居」
神話の国の“瓦物語~こぼれ話~”
“おかげ”さまで、愛知の三州瓦と島根の石州瓦に“ご縁”がありました。
三重県伊勢市
伊勢神宮内宮「正宮」
石州瓦は赤瓦だけじゃない!
3年以上前になりますが、2015年(平成27年)8月22日(土)放送のNHK総合「ブラタモリ #15 出雲 ~出雲はなぜ日本有数の観光地となった?~」をご覧になった方も多いのではないでしょうか。
「ブラタモリ」は街歩きの達人・タモリさんが、“ブラブラ”歩きながら知られざる街の歴史や人々の暮らしに迫る番組で、2015年(平成27年)8月22日(土)放送の舞台は島根県出雲市でした。その中で「・・・石州瓦・・・」という言葉は出てきませんでしたが、JR 旧大社駅や神門通りの街並み、そして恵比寿・大黒さん付棟端飾り瓦などが紹介されました。
“石州瓦=赤瓦(来待瓦)”というイメージが強いですが、
石州瓦は赤瓦だけではありません!
「JR 旧大社駅」の黒光りする鉄砂(てっさ、てっしゃ)色の瓦も実は石州瓦なのです。その他、神門通りにある商業施設「ご縁横町」には、いぶし瓦調の釉薬いぶし色の石州黒瓦が利用されています。また、「一畑電車出雲大社前駅」は淡いグリーン色の石州瓦(特注品)に葺き替えられました。ちなみに話題の「スターバックス出雲大社店」にも銀黒色の石州瓦が利用されています。このように石州瓦は、神話の國しまねを代表する「出雲大社」周辺の景観形成にも貢献しています。
石州瓦といえば赤瓦(来待瓦)がルーツであり特徴ではありますが、色彩も豊富に取り揃えております。
出雲大社にご参拝の折には出雲の町並みに見事にとけ込んだ、いぶし瓦調の釉薬いぶし色の石州黒瓦をご覧ください。
JR 旧大社駅 国 重要文化財
大正/1924木造、建築面積441.23平方メートル、1階建、桟瓦葺、正面車寄及び背面見張所付、背面改札柵附属 1棟 島根県出雲市大社町大字北荒木441番地3
重文指定年月日:20040706
大正浪漫の薫りのするインテリア
天井は高く、空間に広がりを感じます。玄関を含めて30個の大正風灯篭型の和風シャンデリアがなんとも良い味をだしていて、当時の人たちの文化度の高さを感じさせてくれます。
旧大社駅本屋は,出雲大社参詣の表玄関として,大正13年2月に完成しました。
木造,平屋建で,西面して建っています。正面中央に車寄を突出した中央棟を中心に,両翼を延ばした南北に細長い左右対称の構成となっています。
全体に和風の意匠でまとめられた特徴ある建築で,変化に富んだ屋根を戴き,軸部と漆喰壁や窓が織りなす対比により,左右対称の厳格な構成の中にも華やかな外観を構成しています。
優れた意匠の木造和風鉄道駅舎として我が国を代表する建築であるとともに,廃線後も旧地にほぼ建築当初の姿のまま良好に保存され,鉄道興隆期の地方駅舎の姿をよくとどめている点も重要であります。
一畑電車 出雲大社前駅 登録有形文化財
昭和前/1930 鉄筋コンクリート造平屋建、瓦葺、建築面積174㎡ 島根県出雲市大社町杵築南1346-7登録年月日:19961220 一畑電車株式会社 登録有形文化財(建造物)
一畑電鉄大社線の開通に伴い,出雲大社の参道筋にあたる神門通りに接して大社神門駅と呼ばれた駅舎が建設されました。鉄筋コンクリート造・平屋建で,軒線を強調し,ゼツェション風の屋根をかける独特の外観を保っています。特異な外観を持つ駅舎として親しまれています。
※ゼツェションとは、オーストリアの建築家・オルブリヒをはじめウイーンのアカデミー芸術に飽き足りない若手芸術家たちは独自の活動を考え始め、ヨゼフ・ホフマンや画家のグスタフ・クリムトらと共に新しい芸術を求めて、イギリスのアーツ&クラフト運動を研究し、1897年にオーストリア造形芸術家連盟ー分離派を結成、ウィーンの世紀末芸術の旗手としてゼツェション(分離派)の活動を開始しました。
スターバックスコーヒー出雲大社店 和と洋の縁結び
和と洋の縁結び
出雲大社 参道入口の「勢溜(せいだまり)の大鳥居」の目の前に位置しています。
縁結びの神様として知られる出雲大社 (=和) と、スターバックス (=洋) との"縁結び" をテーマにデザインし、出雲大社にヒントを得た要素も取り入れています。
屋根や庇の瓦は石州瓦(銀黒色)です。周囲の景観に合わせた色の瓦を採用。
続く・・・
【寄稿文】 佐々木啓隆
石州瓦工業組合 専務理事
〒695-0016 島根県江津市嘉久志町イ405 TEL 0855-52-5605
協力(順不同・敬称略)
出雲大社〒699-0701島根県出雲市大社町杵築東195 TEL.0853-53-3100
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石州瓦工業組合 〒695-0016 島根県江津市嘉久志町イ405 TEL 0855-52-5605
鎹八咫烏 伊勢「斎宮」の明和町観光大使
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