このたびの平成30年 7月豪雨、9月台風並びに北海道大地震により、亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。
木々を渡る風の音が涼やかに、旅人を癒してくれる。いつ誰が名付けたか「琵琶峠」
琵琶峠は麓からの実高80m・長さ1kmで、中山道美濃・近江路で最も高い峠です。700m余りにわたって石畳がしかれており、頂上直下には八瀬沢一里塚が残っています。往時から木曽街道六十九次や木曽路名所図会にも画かれた中山道の名所です。
木曽路名所図会 秋里籬島/著 文化2年(1805)
瑞浪市の北部丘陵を東西に中山道が通り、街道筋には大湫宿、細久手宿、一里塚、石畳が残る琵琶峠、十三峠、弁財天の池など多くの史跡や名所があります。街道のほとんどが東海自然歩道としても整備され、四季を通じてたくさんのウォーカーが訪れます。
広重の大湫宿はここから描いたものです。
土地(大湫)について
大昔、日本列島は海の底であった。その後、火山活動によって、隆起・沈降を繰り返しながら現在の日本列島ができた。その際、瑞浪市は、土岐川を境に北に中部山岳地帯、南に古瀬戸内海の海岸の位置となる。(化石博物館があり、土岐川沿いで貝の化石が出土することからも)その後、この大湫は、周りを小さな山に囲まれた盆地となり、水はけのよくない湿地(低湿地)となった。
(読み方)湫 や 久手・・・くてorぐて
(意味)大湫・・・大きな湿地
街道(中山道)について
内々神社
熱田神宮
熱田神宮は「熱田さん」(地元では、あったさんと呼びます)の名で古くから崇敬を集める名社です。創建は景行天皇43年(113年)。静かな参道を拝殿目指して歩くだけで、身が清められるような清浄な空気に満たされています。拝殿の奥に見える社殿が本殿で、ここにご祭神である熱田大神が鎮まっています。熱田大神は、三種の神器の1つ・草薙神剣を神体とする天照大神とされています。
草薙神剣とは八岐大蛇の尾から出てきた太刀で、正式名称は天叢雲剣といいます。皇位継承の印である三種の神器のひとつとして日本武尊に授けられました。日本武尊が賊によって焼き殺されそうになったとき、神剣が、草を薙ぎ倒して事なきを得たことから「草薙神剣」と呼ばれるようになりました。日本武尊はこの草薙神剣を現在の名古屋市緑区大高町火上山に留め置かれたまま三重県で没しました。妃の宮簀媛命熱田の地に御鎮座したことが、熱田神宮の創祀であるとされています。以来、伊勢神宮に継ぐ国家鎮護の神宮として崇敬を集めています。
神話では、
ヤマトタケルが東征のために、恵那の神坂峠から熱田へと進めた土岐川道に始まります。
大化の改新以降、朝廷は畿内(近畿地方)から全国へと統一を進めていくために畿内七道を整備しました。この瑞浪地方には、その東山道の中の土岐郡六郷として、駅家が置かれました。
鎌倉時代に入って、各地より鎌倉に至る道路(鎌倉街道)として整備されたのです。(幕府の御家人が「いざ鎌倉」として鎌倉殿のもとへ馳せ参じる道)
関ヶ原の戦い後、徳川幕府は軍事用道路として、五街道の整備を進めました。旧東山道を改修して中山道とするが、この地方では、大井宿から御嵩宿までを最短距離で結ぶ新道(十三峠から日吉高原への標高510mの高所)が開かれています。そして1716年に新井白石の意見で中仙道から中山道に変更されたのでした。
宿場(大久手宿・大湫宿)について
大湫宿は江戸から47番目の宿として、海抜510mの高地に設けられ、江戸へ90里半、京都へ43里半、東隣りの大井宿へ3里半、西隣の細久手宿へ1里半、美濃16宿の中で最も高く、それだけ急坂がつづいており、旅人も人馬役からも難所とされていました。
宿内の町並みは、十三峠西端の寺坂を下りた北町から、白山町、中町、神明町、西町までの東西3町6間(340m)でした。
枡形は北町につくられ、本陣は白山町の北側、問屋場と脇本陣は中町の北側にあり、往還に沿ってつくられた細長い町並みでした。また家々の地割は6間半平均に正しく割られ、家々の境界にはすべて石積みの側溝が施されていて、新宿設置の様子がうかがわれます。今では、国道・中央自動車道・JR中央線などすべてが南麓の土岐川沿いに開かれ、かつて中山道の難所の一つとされた十三峠や西方の琵琶峠の沿道とともに、本陣山の南麓に神明神社の大杉を囲むようにして、往時のままの姿をとどめています。
大杉(県指定天然記念物)は樹齢1300年・目通り6.5m高さ60mで太田南畝の「壬戌紀行」に「駅の中なる左の方に大きなる杉の木あり、その元に神明の神社の宮を建つ」とある御神木です。
※一口メモ
"大湫宿"など宿場町の起こりは、駅伝の制度(人や荷物を引き継いで送る仕組み)により、中継基地として宿(駅)が設けられました。これは、一般の旅人の利用を考えているのではなく、幕府公用による宿泊と官公物資の輸送のためのものでありました。慶長9年(1604)、中山道の新宿として大久手宿が、その後、1615年に細久手宿ができ、宿場では、役所の「問屋場」が設けられ、輸送・宿泊・宿内の取り締まりの仕事を行いました。村としては以前からの大湫(宿)が、幕府関係では、大久手(宿)が使われました。
ハイライト!
≪ 大湫(大久手)宿の復元とその作業工程 ≫
さて、以下は本題「丸森」・大湫宿が生まれ変わるまでの修復工程について、その一部始終をご紹介して参りましょう。
森川訓行家住宅主屋 国登録有形文化財 建物は江戸時代末期の建築と推察され、江戸の町屋形式をそのまま有し、当時の旅籠や問屋を兼ねた住宅の雰囲気をよく残しています。……
改装前の森川訓行家住宅主屋(丸森)
最初に土塀を解体します
妻側壁の竹小舞を調査します
既存の屋根壁の一部を取り外します
杉板(皮)を取ると野地板が出てきました。昔から檜皮は穴が開いていることがあり、主に杉皮が使われた。
傷つけないように慎重に外していきます
種々な形の根太、大引き、束があり時代を感じます
床組みの実測調査状況です
床束と根絡みを新設
既存の継いである部分の取り外し
名古屋市立大学の溝口教授が現場で調査
柱と柱の間に補強材を入れて構造を補強。節有の檜は、死節がなければ強い!
構造的に弱いところは補強して耐震化
新しい部材で金輪継ぎをして、金物で補強
竹を割り格子状に細く編んだ縄で組み下地を作ります。昔は大工さんの手伝いでよくおなご衆が編んでいたものです。ペルシャ絨毯の作り手(女の子供たちが編んでいる)と同じで、ちっちゃな手のほうが器用にできる。ただ、雪国では、秋に建て造作を冬の間に行うので、手が悴んで辛い作業でした…
荒壁を塗った後、四方にのれんを打ちます。
チリ回りの割れを防ぐため、先に塗っていきます。
寒冷紗を張り、中塗りの前に下塗りをします。
下塗りが乾燥した後に、中塗りを行うことで、割れを防ぐことができます。
瓦職人が瓦桟を打ちます
瓦葺きの作業は、まず鼻先で糸を張り、通りを見ます。 なじませ土を置いて、不陸を調整します。
そのあと瓦棒に銅線を巻き、穴をあけた瓦と固定していきます。
この要領で一枚一枚瓦を屋根に葺いていきます。
旧森川訓行邸(丸森)が生まれ変わりました。瑞浪市中山道観光案内所として新装なった丸森へ是非お立ち寄りください。楽しい旅をご案内いたします。スタッフ一同お待ちしています!
施設情報
瑞浪市大湫町旧森川訓行家住宅(通称:丸森)
住所 岐阜県瑞浪市大湫町445-2
電話番号 0572-63-2455
営業時間 09:00~17:00
Eメール marumori@ob.aitai.ne.jp
定休日 年末年始(12月29日から翌年1月4日まで)・臨時休館日
料金 見学無料
アクセス 中央自動車道瑞浪ICより25分
駐車場
無料駐車場をご利用ください
大湫町西駐車場(バス・乗用車)
旧大湫小グラウンド(乗用車)
お休み処北(乗用車5台)
続く・・・
〈余談〉昭和の話である。
40年代始に数年松本を拠点に長野県ほぼ全域を歩いたことがあった。車だったり列車だったりだった。ある時、仲良くなった年長の地元の方が「今日は車かい~中山道、気を付けて帰んなよ」と意味深に注意をしてくれた。小生は何か気になって尋ねると、「実は山賊が出るんだよ、この間も新宿から来た長距離トラックの運転手が、路肩に止めて仮眠してたら山賊に襲われてね」それ以来、小生は途中どんなに眠くても名古屋までノンストップ。
暫くして親切に注意してくれた方に再会。その話をすると、「えぇ~っ!あの冗談を本気にしてたのか~?」と笑い転げられてしまった。当方は照れ笑いと言うか歪んだ顔つきを残すしか無かった。(苦笑)当時の中山道の夜道は、車で走っていても光が吸い取られる程真っ暗闇になる。霧でも発生しようものなら、光が拡散して孵ってヘッドライトが邪魔になり、一寸先も見えない程の状況に陥るから冗談もまともに受けてしまう。しかし、よく考えてみたら「ススキが揺れても幽霊に見えた」類いかもしれない・・・あの頃は未だスレてなかったのかな?直ぐに人を信じる癖、と言えばカッコイイけど…単に成人化が遅れていただけじやないのか…ハイ!ご尤もで…その後、どこの土地に行っても失敗談は枚挙に暇がない。
次回の(その4)は美濃瑞浪三十三の霊場を巡礼コースとともにご紹介予定。巡礼と言えば…(小生、弘法大師様と同じ6月15日が誕生日)ということだけがせめてもの自慢?
バカ正直、鎹八咫烏メがご案内致します。
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」の明和町観光大使
協力(順不同・敬称略)
大湫町コミュニティ推進協議会 大湫コミュニティーセンター内
〒509-6471 岐阜県瑞浪市大湫町422-1 TEL:0572-63-2360
森川訓行家住宅(丸森) 〒509-6471 岐阜県瑞浪市大湫町電話:0572-63-2455
瑞浪市観光協会 〒509-6121 岐阜県 瑞浪市寺河戸町1043−2
瑞浪商工会議所内電話: 0572-67-2222
内々神社 〒480-0301 春日井市内津町24 電話0568-88-0553(日祝のみ)
熱田神宮 〒456-8585 名古屋市熱田区神宮1丁目1番1号電話番号052-671-4151
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