日本海文化の交流拠点である能登半島は独自の文化を育み、数多くの祭礼が 行われてきた。その白眉はキリコ祭りと総称される灯籠神事。夏、約200地区で 行われ、能登を照らし出す。日本の原風景である素朴な農漁村で神輿ととも に、最大で2トン、高さ15mのキリコを担ぎ上げ、激しく練り回る。祗園信仰や 夏越しの神事から発生した祭礼が、地区同士でその威勢を競い合う中で独特 な発展をし、そしてこれほどまでに灯籠神事が集積をした地域は唯一無二。 夏、能登を旅すればキリコ祭りに必ず巡り会えると言っても過言ではなく、そ れは神々に巡り会う旅ともなる。
能登のキリコ祭りの先陣を切る勇壮な祭り「あばれ祭」
宇出津あばれ祭は、石川県無形民俗文化財となっている勇壮な祭りで、この祭りを皮切りに能登のあちこちで夏祭りが始まります。
350年前、当地に悪病が流行したため、京都の祇園社から牛頭天王を勧請。
京都八坂神社(祇園社)の「祇園祭」神幸祭 神輿渡御出発式
盛大な祭礼を始めたところ、神霊と化した大きな青蜂があらわれて、病人を刺したところ、たちどころに病が治りました。喜んだ地元の人は、このハチを神様の使いと考えて感謝し、大きなキリコを担いで八坂神社へ詣で「大泥棒ボー、ハチや刺いた」とはやしながら練り回ったというのが、あばれ祭の始まりとされています。
高さ7m、40数本の奉燈(キリコ)が大松明の火粉の中を乱舞し、2基の御輿を海や川、火の中に投げ込んで暴れる勇壮な祭典です。
平成27年4月、「灯り舞う半島 能登 ~熱狂のキリコ祭り~」が日本遺産に認定され、全国からキリコ祭りが注目されています。
疫病退散を感謝して始まった祭り
定置網漁の基地として知られる能登町宇出津地区。7月最初の金・土曜、能登のキリコ祭りのトップバッターとして行われるのが、宇出津・八坂神社の祭礼「あばれ祭」です。
地元の人たちが疫病退散を感謝して、勇ましいことを好む牛頭天王を喜ばせようと始まった祭りです。キリコや神輿が激しく暴れ回り、数あるキリコ祭りの中でも、飛びぬけて豪快なことで知られています。
開催日 / 毎年7月第1金・土曜日
平成30年は、7月6日(金)・7日(土)
開催場所/ 能登町宇出津地区
<見所>
初 日 / 「宇出津港いやさか広場」において、きりこの大松明乱舞(21時頃~24時頃)
港に40基以上のキリコが林立
祭り初日の主役はキリコです。朝、この地区の産土神社である白山神社(宇出津港の東側)と酒垂神社(港の西側)が八坂神社で神事を終えた後、それぞれの神輿が氏子の町内を渡御。キリコも動きだし、棚木海岸(港の東側)に向かいます。夕刻には全町約40基のキリコが林立し、壮観な眺めが広がります。
午後9時、花火が打ちあがると宵祭りの始まりです。キリコは能登町役場前の「いやさか広場」へ。キリコの入場とともに高さ7mにもなる5本の柱松明に火がつけられ、松明の周りを勇壮に乱舞します。「テテンコテンテン、テコテンテン」という太鼓の音に合わせ、「イヤサカヨッセ、サカヨッセ」と囃しながら、ひたすら練り回ります。燃え上がる炎と降りかかる火の粉に担ぎ手のみならず観客の気分も高揚し、祭りのムードは最高潮に達します。
2日目 / 2基のあばれ御輿巡行(21時頃~1時頃)
盛大に、はてしなく神輿が暴れまわる
2日目、神輿はキリコを前後に従えて八坂神社に向かって出発。「チョーサ、チョーサ」の勇ましい掛け声とともに、担ぎ手たちは神輿を海や川に投げ込んだり、火の中に放り込むなど、思う存分大暴れ。中でも、梶川橋の上から神輿を川に投げ込み、水中で神輿を転がしたり上に乗ったりする豪快な暴れっぷりは、祭りのハイライト。
町を巡行するキリコ。軒先や電線をかすめながら進みます。
川の中に投げ込まれる神輿
神社に到着してからも、炎を上げる「置き松明」の中に神輿を放り込み、火の粉が舞い飛ぶほど容赦なく痛めつけます。神輿を宮入りさせたい者と阻む者がせめぎ合い、何度も火中へ。神輿が拝殿に入る頃には深夜2時を回り、祭りはようやくフィナーレを迎えます。
協力(順不同・敬称略)
能登町ふるさと振興課
〒927-0432 石川県鳳珠郡能登町字宇出津新1字197番地1 TEL:0768-62-8532
日本遺産「灯り舞う半島 能登〜熱狂のキリコ祭り〜」 活性化協議会
(石川県観光企画課内)〒920-8580 石川県金沢市鞍月1-1 Tel.076-225-1542
石川県観光連盟〒920-8580 金沢市鞍月1丁目1番地 電話番号:076-201-8110
八坂神社 〒605-0073 京都府京都市東山区祇園町北側625 電話: 075-561-6155
文化庁 〒100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号 電話番号(代表)03(5253)4111
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」の明和町観光大使
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