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地方創生に向けた新たな政策立案ツール「日本の都市特性評価」を初実施 !
~ 国内 72 都市と東京 23 区が有する「特性」が明らかに ~
一般財団法人 森記念財団 都市戦略研究所は、
「日本の都市特性評価」を初めて実施しましたので、ご紹介いたします。
「日本の都市特性評価」は、全国の主要 72 都市および東京 23 区を対象として、定量・定性データをもとに分析したもので、各都市が有する「特性」を明らかにした調査です。
一般財団法人 森記念財団 都市戦略研究所とは
森ビル株式会社の寄付により設立された、都市づくり・まちづくりに関する調査研究を行う財団法人において、“都市戦略研究”に取り組むことを目的に2008年に設置された研究所。
設立当初からの取り組みである「世界の都市総合力ランキング」は、世界屈指の都市指標として評価されています。
都市空間のみならず環境・社会・政治・経済など様々な角度から都市の現状や将来に関する調査研究を行い、成果は世界に向けて発信しています。
「日本の都市特性評価」
調査の背景・目的
世界の総人口が今後も増加を続けていくと予測されている一方で、日本は少子高齢化および急速な人口減少が見込まれています。
このような状況に直面してもなお、日本全体が活力を保ち続けるためには、全国の各都市が有するそれぞれの「特性」を明らかにし、その「特性」を活かした都市づくりを進め、人や企業を惹きつける「磁力」と、魅力や強みを継続的に発揮し続ける「発展性」を維持していくことが不可欠です。
全国の主要都市の「特性」を明らかにした「日本の都市特性評価」は、地方創生に向けた新たな政策立案ツールとして活用されることをでしょう。
調査の特徴
「日本の都市特性評価」は、統計資料などの定量データと、アンケート調査などの定性データをもとに、対象都市を相対的かつ多角的に評価・分析したものです。
調査にあたって、「経済・ビジネス」「研究・開発」「文化・交流」「生活・居住」「環境」「交通・アクセス」の6つの分野を設定し、それぞれの分野において主要な 要素を表す26 の指標グループと、それらを構成する83の指標を選定。
指標グループごとにスコアを算出し、レーダーチャートを用いて視覚的に表現することで、各都市がどのような指標グループにおいて「特性」を発揮しているのかを明らかにしています。
調査対象都市
対象都市は、国内の主要72都市と東京23区。主要72都市は、政令指定都市および県庁所在地に加え、
各都道府県で人口規模が第 1~3 位の都市(人口20万人以上かつ昼夜間人口比率が3大都市圏では1.0以上、3大都市圏以外では0.9以上)としています。
日本の都市特性評価 2018 結果・分析
合計スコアの上位 10 都市を、分野別および指標グループ別レーダー チャートを用いてそれぞれの強みや魅力を分析した。
歴史・伝統と知的資源が共存する都市
世界的な観光地として有名な京都市は、文化・交流の評価が圧倒的に高い。文化財指定件数の多さといった「観光ハード資源」だけでなく、
イベントの数・評価や名物料理数といった「観光ソフト資源」でも強みをみせた。文化・交流と並んで非常に高い評価を得たのが、研究・開発である。トップ大学数と論文投稿数の数が、対象都市の中で最も多いことから、知的資源にも恵まれていることがわかる。
2 福岡市
ビジネス活力に満ちたバランス型都市
経済・ビジネスにおける「ビジネスの活力」の評価が、他の都市と比べて極めて高い。新設事業所割合や、特区制度認定地域数の評価が対象都市の中で最も高いことが理由として挙げられる。
文化・交流は、5つの指標グループの評価がバランスよく高く、交通・アクセスに関しても、「都市内交通」「都市外アクセス」「移動の容易性」のすべての指標グループで高い評価を受けている。アジアの拠点都市を目指す福岡市は、バランスのとれた都市力を有していることがわかる。
3 大阪市
人や企業が集まる活気あふれる大都市
経済・ビジネスと交通・アクセスの評価が高い。 商都として繁栄してきた大阪市は、「経済規模」における付加価値額と地域内総支出が、対象都市の中で最も評価が高く、また、「雇用・人材」や「ビジネス環境」「ビジネスの活力」「人材の多様性」も高評価を得た。交通・アクセスは、「都市外アクセス」の評価が対象都市の中で最も高く、大阪都市圏の中心地ならではの強さをみせた。他にも、観光案内所・病院の多言語対応が進んでいることなどから文化・交流の「受入環境」でも高い評価を得た。
4 名古屋
研究、ビジネスが集積する中部圏の中枢都市
名古屋市は、研究・開発の評価が極めて高く、高度な教育・研究機関が集まる学術都市であるといえる。特に、「研究開発成果」の論文投稿数で高いスコアを得ている。また、地場産業や知識集約型産業を発展させてきたことから、「経済規模」や「ビジネス環境」の評価も比較的高く、経済・ビジネスでも強みを見せた。高速鉄道や高速道路による「都市外アクセス」の評価の高さは、交通の要衝である地理的利点を活かし発展し続けてきた名古屋市の魅力といえる。
左から「2 福岡」「3 大阪」「4 名古屋」の順番です。
5 横浜市
市民と行政が共に育む多機能都市
東京へのアクセスの良さに加え、業務、商業、住宅、観光など多くの都市機能が集積する横浜市。経済・ビジネス、研究・開発、文化・交流、交通・アクセスの4分野で高い評価を得ている。
特に、独特の文化・歴史背景を持つ横浜市は、文化・交流の全ての指標グループで評価が高い。また、景観まちづくりへの積極度とリサイクル率の評価が高いことから、市民や行政の景観や環境に対する意識の高さもうかがえる。
6 神戸市
経済力と豊かな自然環境を有する文化都市
経済・ビジネスの「ビジネスの活力」の評価が高い。
また、環境の評価は、同規模の経済力を持つ都市の中では際立って高く、特に自然環境の満足度の評価が高い。そのため、神戸市は経済力だけでなく自然環境の豊かさでも優れている都市だといえる。
文化・交流では、「発信実績」が対象都市の中で最も評価が高いことに加えて、「交流実績」や「観光ハード資源」も強みである。神戸の持つ文化的な魅力を戦略的に発信し、それが人の交流を生み出しているものと思われる。
7 札幌市
ハード・ソフト両方の資源を併せ持つ観光都市
札幌市は、文化・交流の評価が比較的高い。特に「観光ソフト資源」は、京都に次いで評価が高く、「発信実績」における魅力度・認知度・観光意欲度も極めて評価が高い。市内に多くの観光地があるため「観光ハード資源」の評価も比較的高い。 観光都市としての魅力の高さに加え、北方圏の拠点である札幌市は、交通・アクセスの評価も高い。中でも「都市内交通」の評価は対象都市の中で3番目に評価が高い。
左から「5 横浜市」「6 神戸市」「7 札幌市」
8 仙台市
文化的魅力を有する学術・研究都市
仙台市は、高い都市機能を持つ大都市でありながら、生活・居住や環境の評価も高いことから、居住者や就業者にとって魅力的な都市といえる。生活・居住は「安全・安心」で、環境は「環境パフォーマンス」でそれぞれ高い評価を得ている。また、研究・開発の評価が際立っており、特に論文投稿数など「研究開発成果」のスコアが高い。また、城下町として発展した歴史を持つ仙台市は、景観まちづくりへの積極度も高く「観光ハード資源」も豊富であることなどから、文化・交流も強みであることがわかる。
9 つくば市
豊かな自然に囲まれた研究学園都市
研究学園都市であるつくば市は、研究・開発が強みである。学術・開発研究機関従業者割合が極めて高く、「研究集積」で高スコアを得た。また、「居住環境」が良好なことに加えて「市民生活・福祉」が充実していることから、生活・居住の評価も高く、暮らしやすい都市であることがわかる。環境においては、空気のきれいさといった指標の評価が極めて高く、山や田園環境が広がる自然環境豊かなつくば市の強さが表れている。
10 浜松市
多様性を活かし発展する環境先進都市
浜松市は、環境で非常に高い評価を得た。年間日照時間が長いことから「快適性」の評価が高い。 また、再生可能エネルギー自給率の高さなどから 「環境パフォーマンス」でも高スコアを得ている。 経済では、「人材の多様性」と「ビジネスの活力」で 強みをみせた。外国人就業者割合や高齢者就業率の高さから、浜松市では、幅広い国籍や年齢の人々が活躍していることがうかがえる。
左から「8 仙台市」「9 つくば市」「10 浜松市」
分野別スコア
<分野別スコアが高い都市>
1 千代田区
賑わいと経済活力に満ち溢れた東京の中心地
経済・ビジネスにおける「経済規模」「ビジネスの活 力」「ビジネス環境」で圧倒的な強さを誇っている。 付加価値額や労働生産性、新規オフィス供給面積、フレキシブル・ワークプレイス密度といった指標の 評価が極めて高いことがその理由として挙げられる。
文化・交流における「観光ソフト資源」「受入環境」
「交流実績」の評価も高いことから、観光地としての
魅力も有していることがわかる。都市地域緑地率については、区の面積の約12パーセントを占める皇居が存在しているため、23区の中で評価が最も高い。
2 港区
文化的魅力と高い経済力を併せもつ国際都市
港区は6分野すべてにおいて、バランス良く高い評価を得ている。経済・ビジネスでは、賃金水準や
「財政」の評価が極めて高く、安定した経済力を有していることがわかる。また、文化・交流における
「観光ハード資源」や「受入環境」の評価が23区で最も高く、観光都市としての資源や機能も併せ
持っていることがうかがえる。特に、高級宿泊施設客室数や観光案内所・病院の多言語対応の評価が高いことから、国際的な都市であることがわかる。
3 中央区
居住性と利便性を兼ね備えたバランス都市
生活・居住における「居住環境」と「生活利便施設」 の評価が23区で最も高い中央区は、都心に位置していながら居住性と利便性を兼ね備えた都市である。
鉄道駅・バス停密度が23区で最も高い一方で、交通事故死亡者数が最も少なく、交通利便性と安全性の両立もみてとれる。また、経済・ビジネスに
おける若手人材の転入出の多さ、研究・開発におけるグローバルニッチトップ企業数の多さから、
都心で暮らす若い人材や、若い企業の活躍が中央区の経済活動を牽引していることがわかる。
分野別スコア
日本の都市特性評価 DATABOOK 2018発売のご案内
日本の主要 72 都市・東京 23 区の特性がこの一冊で明らかに
日本の都市特性評価 DATABOOK 2018 2018 年 11 月発売!
発行予定日 2018年11月
構成 A4
言語 日本語
価格(予定) 書籍版:32,400円(税込) PDF版:25,920円(税込)
構成
背景・目的 調査方法 結果分析 都市別プロファイル データ一覧 資料
評価手法
本調査では、都市の力を構成する要素として6分野(経済・ビジネス、研究・開発、文化・交流、生活・居住、環境、交通・アクセス)を設定し、それらの主要な要素である26指標グループ、さらにそれらを構成する83指標を選定しました。
お問い合わせ
一般財団法人 森記念財団 都市戦略研究所
TEL 03-6406-6800(代表) / FAX 03-3578-7051
E-mail:info@mori-m-foundation.or.jp
協力
一般財団法人森記念財団 都市戦略研究所
〒105-0001 東京都港区虎ノ門3丁目5番1号 虎ノ門37森ビル TEL 03-6406-6800(代表)
日本初の「日本の都市特性評価」です。
国内 72 都市と東京 23 区が有する「特性」を総合的に明らかにしたデータブックは、
地方創生に向けた新たな政策立案ツール として大いに役立つものと思います。
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」の明和町観光大使
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